少年法の議論はなぜ起こるのか
先月28日、福岡市内にあるショッピングモールでアルバイトをしていた女性が殺害された。
逮捕されたのは「自称15歳」の少年だった。
少年は女性を刺した後にショッピングモール内で取り押さえられ、銃刀法違反の容疑で現行犯逮捕。
また未成年が絡む事件を見てしまうこととなった。
さて、この事件はもちろん、未成年が起こす殺人事件などでは、毎回といって良いほどある議論が過熱する。
それは少年法に関する議論である。
少年法とその議論の過熱にはどのような関係があるのだろうか。今回のコラムでは「少年法とは何か」、「少年法議論の過熱」、「私見」と3つのセクションから考察していく。
1.少年法とは
少年法らしき法律は昔からあった。(感化法など)
現在の少年法は昭和23年(1948)につくられた法律である。(以下の条文について、特に明記のないものは少年法。)
この法律は、少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行うとともに、少年の刑事事件について特別の措置を講ずることを目的とする。(1条)
少年法の目的は
①非行のある少年に対して性格の矯正、環境の調整に関する保護処分を行うこと
②少年の刑事事件について特別の措置を講ずること
である。
この法律で「少年」とは、二十歳に満たない者をいい、「成人」とは、満二十歳以上の者をいう。(2条)
少年=20歳未満
成人=20歳以上
年齢に関しては現在、法制審議会が少年法をはじめとした見直しを行っている。
2022年には成人年齢が現在の20歳から18歳になる。
この法改正があるため、少年法も...という流れなのであろうと考えられる。
2.少年法議論の過熱
今回のような事件が報道されると
「少年法を改正しろ!!何やってんだ!」
との声が主にネット上では多くみられる。
この意見はごもっともである。
「少年法を改正して厳罰に処せ」
「未成年が絡んだ悲惨な事件は少年法のせいだ」
「被害者の名前がさらされ、未成年である犯人の名前はなぜさらされないのか」という意見もあった。
最後の意見は報道機関によると思われる。
ただし、感情だけで法律の改正ができるほど簡単な世の中ではない。少年法ではないにせよ、判決が出る度に
「軽い」
「重い」
の議論がなされる。
法律家は他人の感情に左右されてはならない。
「中立」の立場であることが大切である。
3.私見
少年法は
①非行のある少年に対して性格の矯正、環境の調整に関する保護処分を行うこと
②少年の刑事事件について特別の措置を講ずること
が目的である。
最近の報道を見るに、犯行を衝動的に起こす事例もいくつかみられた。その一方で非行に走る少年がいるのも確かである。
この2つの分別をどうつけるかがキーポイントではないのか。
私であれば以下のような分け方をする。
A 上記の①、②の場合は、少年法に基づいて対処
B 上記①、②に当てはまらない場合は、別の方法で検討する
A、Bにあてはまるかどうかは、新しく設けた第三者機関での審議を経て決定する。第三者機関は中立を守るため、裁判官経験者や警察、有識者を招聘する。
「別の方法」については、刑事罰などが考えられる。成人と同じ待遇にするのかどうかは、第三者機関で決める。
私であれば、以上のように考える。
さいごに
今回の事件で21歳の若い命が奪われたのは、大変悲しいことである。
安倍首相が辞職を表明し、少しの政治的空白が生まれるのは確かである。新首相は来月に選出されるという。
その中でも世の中は動いている。
一刻も早く議論が行われることを祈るばかりである。