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小林英介のブログ

元フリーランスで現在は業界紙記者である小林英介が、てきとーにニュースや好きな野球について書くブログです。

公共交通における車いす介助はどうあるべきかーJR・利用者側から考えるー

お久しぶりです。

年明けの新聞を年末に作ってしまう「年末進行」の最中であり、記事執筆に忙殺されております。まぁそんなことみんな一緒だから…僕だけじゃありません。

 

愚痴を聞いていただいたところで本題に参ります。

 

車いす介助を断る

12月9日配信の読売新聞の記事によれば、JR九州のとある駅で、車いすを利用している女性がJRを利用しようと介助を依頼したところ、JR側がその利用時間帯に駅員がいないため、依頼を断られたと報じられていた。

 

私もJRユーザーであり、車いすの利用者がJR利用する場面をよく見たことがある。利用者は、板みたいなものをホームと車両の間に渡し、車いすを押してもらって車両に乗る。利用者にとっては板が命みたいなようなもの。大切なのだ。

 

JR側の背景

この問題には様々な背景がある。まずはJR側だ。

JRはもともと国鉄といった。日本国有鉄道である。広大な日本の大地を走っていた鉄道は、国鉄の時代は国に一元管理されていた。しかし国鉄はJRに民営化。JR北海道、東日本、西日本、東海、四国、九州、貨物となった。

このうちJR北海道、四国、九州は「三島会社」といわれた。なぜこう呼ばれたのか。それは国鉄時代からこの3社は、経営が悪化する見込みがあったのだ。

 

三島会社

JR北海道は北海道という広大な大地を有している。私の地元でも、利用先でもある。民営化直後は多数のリゾート列車の運行し、札幌ー函館間などの速達化を推進してきた。ただ2011年5月に発生した石勝線列車脱線火災事故が大きな転機となった。

JR北海道では、この事故を機に様々なトラブルを経験した。そのため世間からの目も厳しくなり、株式会社としては安全対策に舵を切るしかなかったのだ。また2014年1月には国土交通大臣から監督命令を受け、ますます安全に注意しなければならなくなった。それに経営の不安定さが二重にのしかかっていった。

 

JR北海道が12月8日に公開した2021年の収支と利用状況(4月から9月までの実績)によると、営業損益は約358億円の赤字となっている。JR側は前年度比24億円、赤字が減少したと強調しているが、その減少幅は札幌間が大部分を占めている。北海道は札幌に人口が集中している。まるで日本における東京間一極集中の縮図とも言える。

 

また11月15日にJR四国が発表した2021年度第二四半期の収支状況によると、7月から9月の営業利益は106億円の赤字となっている。

 

JR九州は湯布院、指宿など有数の観光地を有しており、様々な観光列車が運行されてきた。ところがここ数年は新型コロナの影響が重くのしかかり、営業運転も一部を縮小するなど、厳しい運営状況が続いている。JR九州が8月に発表した2020年度区間別収益を見てみると、計66億円の赤字となっている。

 

コロナが大きく影響

この3社以外にも共通して言えるのは、やはり新型コロナウイルスの感染拡大である。人々が移動を少なくすれば、列車の利用人数も減るに決まっている。それが経営に重くのしかかっている。そして、一家に一台、車を持つ時代になった。国鉄の時代はそんな事はなく、大体の人が国鉄など公共交通を使っていた。今はそんな時代ではないのが実情だ。

 

そして現在は人員不足と戦わなければならない。転職が当たり前となり、なかなか人を育てることができない。それはどこの会社でも同じであろう。JRにおいても同じである。

 

介助の心を持とう

では話を戻そう。車いすの利用者側の視点に立って考えてみる。ネット上では車いすの利用者を批判する声もある。それはお門違いであるとはっきり断言しておこう。車いす利用者だからではなく、障害を持っていない人にもそういった人がいる。車いす利用者だからなどと、意味のわからない批判は止めるべきだ。

 

車いすを利用するのは、歩けないからだ。だからそういった介助がないともちろんJRを利用できない。また一人で行動するときには、誰かに解除を求めねばならない。

私も車椅子の人を見かけたら、率先的に手伝うことにしている。そうした方が障害者の方々はのびのびと生きやすくなるのではないかと思うからである。その背景には私も障害を持っていて(目の障害)、障害者の気持ちがわかるというか、助けてあげたい気持ちもあるからである。

 

この話を総括すれば、何が言えるのだろうか。あれこれがダメだ、いけないと言うのではなく、車いす利用者も、JR側もそれぞれ理解しあうことが必要なのではないかと思う。JRには人員不足や経営悪化などの問題がある。また車いす利用者にも利用者なりの事情がある。

 

だから、健常者や障害者皆がこの問題についてしっかり議論し、将来に向けての方向性を見出していくべきである。たくさん議論し、出た結果が私たちにとって良いものであることを願っている。