先週末から今週頭にかけ、北海道は大雪に見舞われた。特に札幌市では24時間降雪量が60センチとなり、観測史上最多となった。
こんなに沢山の雪が降れば、公共交通機関にも影響が及ぶ。札幌市内を走るバスは軒並み運休、大幅な遅れで運行せざるを得ない。JRも2月7日、8日と2日続けて札幌駅発着の列車は全て運休。通勤・通学にも影響した。
JRが2日間動かないのは珍しい
JR北海道が2日間の札幌駅発着列車を全面運休させるのは大変珍しい。人身事故は仕方ないと思うが、最近は雪による遅延が目立っている。それほど除雪が追いついていないのだ。
動画投稿サイトYouTubeでは、札幌駅の現在の様子を見られるチャンネルがある。様子を確認すると、作業員が黄色のジョンバ(ジョンバとは、めっちゃデカいスコップのこと)を使いながら除雪していた。本当に頭が下がる。
JRには厳しい声も
コロナ禍も関係しているからなのだろうか。近頃は悲しい事件やよく分からない事件が相次いでいる。人々もストレスがたまっているのだ。
JR北海道は8日、【多く寄せられているご質問と、それらに対する弊社回答】という文書を公開した。文書にはJR北海道へ寄せられた様々な「ご意見」が掲載されている。
「除雪をのんびりやってるの?」
文書の冒頭、「札幌圏大雪の影響により、2月5〜6日は多くの列車に運休・遅延が発生、2月7日には札幌圏の列車を全日運休させることとなり、ご利用のお客様にご迷惑をおかけしました。お詫び申し上げます。」と謝罪。
そのうえで、利用者から「晴れているのにどうして?」「降雪の備えをしていないの?」という疑問を多くもらうようだ。除雪の特殊性などを踏まえ、JR北海道は回答した。
①人力除雪は一部なのでしょう?除雪用機械をどんどん走らせれば済むんじゃないの?なにのんびりやってるの?
2月6日は列車の運行中、風雪が急に強まったためふきだまりが相次いで発生。多くの列車が途中で運行できなくなったという。乗客は駅で降りたものの、列車はそのまま放置状態だった。
もし運転を再開させるには、1編成ずつ車両基地に移動。列車が走る部分を空けなければならない。機械除雪は車両手前までできるが、列車付近は手作業で除雪する必要があるなどの理由で、運転を再開しづらい状態になっているとした。
②「手稲ー札幌ー新千歳空港間を優先して」作業を進めているとのこと。なぜその区間か?不公平ではないか?
札幌圏で使用する車両は手稲あたり(稲穂駅)にあるため、そこを重点的に除雪する。また、札幌から南千歳間は、札幌と函館を結ぶ「北斗」や札幌と帯広・釧路を結ぶ「とかち」「おおぞら」が重なって通行する区間であり、影響を多方面に及ばせたくない。よって優先的に除雪する。除雪機械にも限りがあり、優先順位をつけて作業していくという。
③こんなに度々運休されたのではたまらない。JR北海道は降雪対策を全く講じていないのか?
まず線路の切り替えができなくなると、列車の運転に影響を及ぼす。そのため、切り替え部分(ポイント)に融雪器を設置したり、降雪が見込まれる日は切り替え頻度を落とすため、発着番線を変えるなどしている。そして今年の冬は例年以上の降雪量であり、対応に苦慮しているとした。
JR北海道は比較的攻めた文書を出した
この文書を初めて読んだとき、まず思ったのは「JR北海道、攻めた文書出すじゃん。」だった。
寄せられている疑問のニュアンスも大変厳しい。「のんびりやってるの?」「不公平だ」など、トゲトゲした言葉が並んでいた。それに対してJR北海道は防戦一方である。一部反論しているような感じも見られたが、防戦するしかなかろう。
クレームを出すなら除雪の手伝いに来い
だが、そういった言葉を投げかける人に意見したい。まず、JRに疑問を投げかけたところで、すぐ復旧する訳がない。「その暇があるなら、除雪の手伝いに来い」と言いたい。札幌市で観測史上最多を記録したのだから、今回ばかりはJRが気の毒でたまらない。
役所もやる気を出せ
JR北海道の経営問題を議論する際、北海道庁など役所もあまりやる気がないと感じられる。公共交通であるJRを、放置するつもりか。路線がなくなってもいいのか。元公務員として、一刻も早い支援を国にもお願いしたい。
本稿執筆時、JR北海道は8日夜の運行再開(手稲ー札幌ー新千歳空港間)を目指しているという。しかし私は、最悪でも4日くらいはかかると見ている。それくらいの見込みを立てることは大切である。余裕を持って生きたいものだ。