8月29日に幕を閉じた第103回全国高等学校野球選手権大会は、雨で7日の順延、新型コロナウイルスの影響など、さまざまな問題が浮き彫りになった大会だった。
前回は1日目~2日目を振り返った。今回はその後の雨天順延について取り上げる。
3日目からが悪夢の始まりだった。第1試合の名桜(秋田)―帯広農(北北海道)の試合は試合途中で降雨ノーゲームとなった。
スポーツ紙各紙は、降雨ノーゲームとなったこの試合について大きく報じた。
注目されていたピッチャー・名桜の風間を中心に取り上げ、悲しみとともに伝えた。
私はもともと、試合が中止になったときにどのような報じ方をするのかについて大変興味を持っていた。スポーツ紙はどんなネタを用意し、どのように伝えるのか。今大会でその疑問を晴らすことができるのか。様々な媒体を見て勉強することにした。
私がいつも読んでいるスポーツ新聞は日刊スポーツ。選手権大会を主催する朝日新聞社の系列新聞だ。
今回はそれ以外の新聞も読んでみることを試みた。
実際に新聞を購入することはしなかったが、WEB上で確認した。
「夏の甲子園 ノーゲームは19度目、過去には2試合連続順延も」
と報じたのは8月12日のデイリースポーツだ。デイリーは風間の初戦が雨でノーゲームになったことを報道。さらに「降雨ノーゲームは、第91回大会’(2009年)1回戦の如水館ー高知が2試合連続でノーゲームとなって以来、全国選手権大会では19試合目」と珍しい出来事であることを強調した。
同じ日のスポーツ報知は、帯広農業の選手の声を報道。帯広農業の前田監督が試合について「もう1回整理して臨みたい」とノーゲームが「恵みの雨」だったと取りあげた。
またデイリースポーツは12日、先ほどとは異なる記事で、今後の日程消化が厳しくなると報道。「今後、荒天が重なるようだと日程消化がより厳しくなってくる」と懸念している。この予想が現実になろうとは……。
翌13日も雨で全試合が順延となった。
13日の中日スポーツでは、「新設の3回戦後の休養日がなくなる」との見出しで報道。デイリースポーツは「毎日甲子園に来られることは幸せです」との帯広農業・前田監督の声を紹介した。
14日、3日連続で順延が決まると、先陣を切ってスポーツ報知が報道。
「46年ぶりの3日連続順延 準決勝翌日の休養日も消滅」と報じた。
記事によれば「3日連続の順延は1975年以来、46年ぶり」だという。記事の最後にあった「終盤は一気に過密日程となってしまった」という言葉が、今大会を象徴しているだろう。
同日のデイリースポーツは、帯広農業の調整の様子を報道。
「この日は前日の室内練習よりもダッシュ系のメニューを多く取り入れ、瞬発力など体のキレを調整」「13日の甲子園室内練習後は、体を休めるためにヨガを行った帯広農ナイン」と細かく報じた。
同日の週刊ベースボールオンラインでは、「1週間500球以内」という球数制限に関するコラムを掲載。この時点で球数について憂慮されていたことが分かる。
西日本スポーツでは練習場所についてのコラムを公開。
「甲子園の室内練習場を使えるのは、その日試合をする予定だったチームだけ」「雨が降ると室内練習場は自力で借りなければなりません」と実情を明かした。
毎週土曜日にTBS系で放送されている「新・情報7DAYS ニュースキャスター」にたけしが出演し、「お金出して甲子園をドームにするっていう企画ないのかね」と甲子園のドーム化についてのコメントを記事にしていた。
この時点で14日。
ここから甲子園に関する議論はさらに過熱することになる。
次回に続く。